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「ジェームス・サーバーの本」

高校生の頃に読んだ「ニューヨーカー短編集(全3巻)」の中に、ジェームス・サーバーの短編がいくつか収録されていたはずなのですが、わたしの記憶にはほとんど残っていません。もっともその中にどんな小説が収録されていたかなんて、もうすっかり忘れてしまったけれど・・・・。それにサーバーの書く小説というのは、読む人に強烈な印象を与えると言ったものではなくて、毎月読んでいる雑誌の中で、はじめはたいして気にしていなかったのだけれど、気がついたらその連載を目当てにその雑誌を買うようになってしまった、という種類のものなので、私の記憶力だけの問題でもないと思います。

サーバーの文章のスタイルは、簡潔で分かりやすく読みやすいものがほとんどです。でもじっくりと読んでいくと、話の進め方、登場人物の性格や行動についてのエピソードを挟み込むタイミングなど絶妙で、うまく計算されています。多分、文法的にもスマートなんだろうな、と想像しているのですが、実際はどうなんでしょうね(翻訳を読んでいるのでなんとも言えません)。内容は、強い奥さんだったり、会社の上司だったり、社会全体だったり・・・・そういったなにかにおびえる主人公が、ある時おびえている対象に対して反撃を試みますが、ほとんどの場合成功せず、結局、自分の空想の世界に逃れるしかない、といったものが多いですね。サーバーの文章を評して、「墓場で口笛を吹いているようなもの」と誰かが言ったそうですが、まさにそのとおりです。

せっかく手に入れた本なので、電車の中で読むにはもったいないと思って、近くのカフェでカプチーノを片手に読んだりしています。どこかフィクションともエッセイともスケッチとも、区別がつきにくいサーバーの文章は、喫茶店などでゆっくりと、少しづつ読むのに適しているのではないでしょうか。



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