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「夜来香幻想曲」

昭和初期から戦後にかけての流行歌に漂う異国情緒が好きで、ときどき思い出したように、レコード屋のその手の棚をチェックしてみるのだけれど、意外とコーナーが狭いのとCD化されていないことにびっくりしてしまいます。そもそも「全曲集」と銘打ってあるのに15,6曲しか収録されていないなんで、ジャロに訴えられないのでしょうか。

なんてことはいいとして、この時代の流行歌は、もしかしたら現在の日本の音楽よりも幅広く、そして貪欲に、外国の音楽をいかに取り入れるか、ということを第一の課題としているような気さえします。ジャズやカントリー、ブルースやブギ、ハワイアンなど憧れのアメリカの音楽はもちろん、ラテン、サンバ、それから中国の時代曲など、さまざまな音楽がアレンジされて、それでも日本風な流行歌としてできあがってくる感じが、私を不思議な気持ちにさせてくれます。そしてそういった曲を、基本的にはクラシックの歌い方で歌っているんですね(ここが演歌との大きな違いですね)。日本語をきちんと音符に載せたメロディも、以外と心地よいですし・・・・。

もちろんその時代には、私は生まれていなかったわけで、昭和初期から戦後にかけての日本をまったく知りません。ですから、その頃の日本さえも私には知らない世界であって、ある意味“異国”と言えます。

そんな曲を聴きながら思い浮かべるのは、子供の頃、夏休みに遊びに行った祖母の家。いとこたちと花火をした後に、縁側に座ってすいかを食べていると、置くの部屋から祖母が見ているテレビから流れてくる懐メロと、隣のおじさんの家から聞こえてくる野球の実況放送、そして道路の向こうからの波の音が混じり合って、ゆっくりと過ぎていく夏の夜の風景だったりします。半分は空想なんですけど。



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