『コミマサ・シネ・ノート』−田中小実昌−
この本を読む前も、読んだ後にも田中小実昌にはそれほど思い入れはないけれど、この本、あるいは彼が書く文章は楽しく読んでいます。この本は週刊誌の連載をまとめたものなのですが、一回の連載で10本から20本の映画を紹介してます。もちろん一つ一つは短くて多くて5行から6行、短いもので1行なんてものあります。なので、その映画について詳しく知ると言うことはできないけれど、全く知らない映画についてながながと解説や批評を書かれても困ってしまうので、軽く読むにはちょうどいいのではないでしょうか。実際の田中小実昌のように次から次に映画館をはしごする感覚で。
『北京の秋』−ボリス・ヴィアン−
西荻の古本屋をのぞいたら、まだ読んでいないヴィアンの本があったので久しぶりに読んでみました。私がヴィアンに夢中になっていたのは大学の時で、91年〜92年くらいの頃でしょうか。軽妙な文体でナンセンスな世界を作り上げているのだけれど、時折本質をついた言葉が出てきたりして、シリアスに考えずに読めてしかも薄っぺらな感じがしないところが、今読んでも良かった(そこがお洒落と言われてしまう原因か?)。以外とこういう小説ってないものです。
『壁抜け男』−マルセル・エイメ−
マルセル・エイメは1902年生まれ、銀行員、煉瓦職人、新聞記者など、いろいろな職業に就いた後、作家になった人です。代表作は映画にもなった「緑の仔馬」(ここまで解説より。もちろん私はこの小説も映画も観てません。)で、この「壁抜け男」は1943年に出版された短編集。奇想天外な設定がまるでよくあることのように書かれていて、しかも社会に対する批評を少しだけ加える。なんだか粋な“ふらんす小咄”といった感じの本。