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「片岡義男のエッセイについて思うこと」

片岡義男の本と言えば70年代後半から80年代のかけて、出版された角川文庫の赤い表紙といくつかの角川映画を思い出します。どこかで「村上春樹を読んでしたり顔でいる奴よりも、部屋に行ったら本棚に赤い表紙が並んでいる奴のほうが好感が持てる」なんていう文章を読んだのは、多分85年か86年の頃。まだ「ノルウェイの森」も出ていない、「羊をめぐる冒険」が文庫になったばかりの頃です。

とはいうものの個人的には片岡義男の小説を夢中で読んだということはありません。何回か軽い気持ちで読んでみようと思ってみたこともあるけれど、最後まで読みとおせたことがありません。角川文庫以前の片岡義男は「ワンダーランド」→「宝島」、晶文社周辺にいたらしいのだけれど、その当時の彼がどんなふうに受け止められていたのかについては、知る由もなし、という感じです。こればかりは後追いでは分かりません。

「10セントの意識革命」という片岡義男のエッセイ集を初めて読んだのは、94年だったか95年だったか忘れたけれどこれが結構おもしろくて、気が向くとその後に太田出版から出たエッセイ全集を読み返したり、本屋で読んでいない本を探してみたりしています。英語が読めることを武器に、植草甚一が膨大な海外の本や雑誌を読み漁り(買い漁り?)、あらゆる情報を取り込んでおいて、その中から自分がおもしろいと思ったことを即座に書いているのに対して、片岡義男の場合は日系二世(だったと思う)ということもあり、子供の頃からアメリカの本に親しんでいたせいか、情報の吸い込み方や吐き出し方がとても自然です。長い間親しんできて蓄積した情報の中から、書いてみようかなと思ったものを選び出しているような感じ。その課程がとても楽しそうでもあり、その余裕が片岡義男のエッセイのおもしろさなのです。



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