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「1999年、秋の電車の中」

1999年、秋の電車の中。イタロ・カルビーノ「不在の騎士」、カレル・チャペック「ホルドゥバル」「流れ星」、スコット・フィッツジェラルド「ラスト・タイクーン」、ミック・ジャクソン「穴掘り伯爵」、サンセット・モームの短編集を3冊、池波正太郎の随筆を5冊、幸田文「雀の手帖」、野田宇太郎「東京ハイカラ散歩」、・・・・、その他何冊かの雑誌、何冊かの漫画や写真集、そしてどこかで見つけたフリーペーパーをいくつか。

池波正太郎の随筆は毎年12月になるとなぜか読み返してしまう。「食卓の情景」「むかしの味」も前に読んだものだけど何回読み返してもいい。「年末の慌ただしいせっぱつまった中で、なぜか心の中はゆったりとした気分になってしまう」そんな気分によく似合います。これらの本を読んでいると、池波正太郎が時間をたっぷり持て余しながら毎日をのんびりと過ごしていたのでは、と勘違いしてしまいそう。でもこの時期の池波正太郎は毎月ものすごい数の連載を抱え、時に舞台の演出をするという忙しさの中で、このような生活をしていたらしい。しかも原稿の締切は一度として遅れたことがなかったそうです。

「東京ハイカラ散歩」は「荷風先生、今日はどちらへ」という見出しにひかれて読んでみました。戦後間もない東京を歩きながら、文学にゆかりのある場所を感慨たっぷりに紹介。思いこみたっぷりの文に閉口することしばしば。「散歩」というのんびりとした雰囲気があまりなくて残念。新聞連載時には1日に20km歩いたりして取材したそう。

「穴掘り伯爵」の作者ミック・ジャクソンの本名はマイケル・ジャクソン。それではあんまりなのでミックに変えたらミック・ジャガーに似てしまったというイギリス人。年老いた伯爵の話でイギリス人がどれだけ頑固で自分を崩さないかということに感心させられる。時折出てくる柔らかな風景や回想の描写にはっとさせられた。(1999.12.9)



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