「Living Stereo」「360°Stereo」「Hi-Fi Fidelity」「Hi-Fi Standard」・・・・といった言葉がジャケットを飾る、50年代から60年代初め頃のイージーリスニングのレコードをよく聴いてます。イージーリスニングというと、スタンダードな曲や映画の主題歌をオーケストラで演奏したレコードというイメージだったり、スペース・バチェラー・パッド・ミュージックやエキゾチックといったモンドな音楽、あるいはサバービアやラウンジなど、人によって思い浮かべる音楽がかなり違うと思います。
実際、そういったレコードを一つ一つ聴いていると、その音楽性の幅はとても広くて、オーケストラやストリングスによるこれぞイージーリスニングといったものから、コーラスが入ったもの、マンボやカリプソ、ラテン、メシキカン、デキシーランドジャズ、スイング、ハワイアン・・・・もちろんエキゾチックなものなども含めてあげていくときりがなくらい。
でもそれらのレコードにはどれも、ある種一定の雰囲気があってそこからはずれることは決してありません。いうなればロックやジャズ、ボサノヴァ、ラテン・・・・といったジャンルが、音楽を縦に区切ったものとするなら、イージーリスニングは一般的な音楽のジャンルをすべて含みながら、それを横に切り取ったものと言えると思います。そしてその切り口が50年代から60年代初めのアメリカの中流家庭、あるいは「パパは何でも知っている」「奥様は魔女」のようなテレビ番組で描かれている50年代のアメリカにおけるサバービア(郊外)の生活のイメージということになるのでしょう。
私はそんなサバービアな生活に憧れることはないけど、これほど聴く人が特定のイメージを想像できる音楽もないと思います。そして、それが夢だと分かっていても、時にはそんな気分にどっぷり浸かってしまうのもいいでしょう。もちろん部屋の電気は間接照明、温かいコーヒーとクッキーを片手に・・・・。(1999.11.19)