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「ルイス・フォア」

初めてルイス・フォアの写真を見たのはかなり前のことだったのですが、その写真をルイス・フォアという写真家が撮ったものだと知ったのはつい最近のことです。私が初めて見たルイス・フォアの写真は交通事故らしき現場の前で少年が身をこわばらせている写真で、右隅には幸せそうな老夫婦の姿がどこかのガラスにかすかに写っている、というものでした。その時の私にはこの一枚の写真の中に、少年の過去や未来にまたがるさまざまな感情が表現されているように感じられたのです。

ルイス・フォアは1916年生まれ、フィラデルフィア出身の写真家で、主に1950年代に活躍しました。30年代の初めには風刺画や看板、映画のポスターなどを書いていたそうです。37年頃から本格的に写真を始め、46年からは「ライフ」や「ヴォーグ」といった雑誌の仕事をしています。60年代にはほとんど写真家としての活動していませんでしたが、70年代に活動を再開、80年代になると回顧展が開かれるなど再び注目されます。

私は「ハーパーズ・バザー」などに掲載された写真をよく知らないけれど、私の持っている写真集での彼の写真は、街の中にいる人たちのほんの一瞬をうまくとらえています。例えば、普段街を歩いているとき、すれ違った人が妙にうれしそうな顔をしていたり、笑っちゃうくらい変な顔してるとときってあると思うんだけど、そういった一瞬を見事に写しています。しかも実は彼の目にはレンズとシャッターがついているんじゃないかってほど、画面の隅々までまるで計算されたように構成されています。

また写り込みや反射を利用した写真も、何がどこに反射しているのか分からないくらい複雑、かつ構成的なんですね。こういう写真ってテクニックばかりが目についてホントは好きじゃないけど、彼の場合「自分が見たものを面白がってる」って感じで嫌みに見えません。(1999.10.27)



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