1999年、夏に観た映画。「ルル・オン・ザ・ブリッジ」「女と女と井戸の中」「マイ・ネーム・イズ・ジョー」「アイズ・ワイド・シャット」「キッスで殺して」「血を吸うカメラ」「オースティン・パワーズ・デラックス」「チェコアニメ映画祭」
ケン・ローチは私の大好きな映画監督の一人。イギリスの社会問題を背景にしながら、それを大げさに主張するのではなく、普通の人々を力強く、そしてユーモアを交えながら描いてくれる。どんなに自分が自由と言ってみても、人間はその社会の影響から逃れることは出来ないとのだ、でもそんな社会に対してただ受け入れるだけではなくて、時にはずるがしこく立ち回ったり、押しつぶされそうになりながらも、たくましく、そして日々を楽しみながら生きていくものなのだ。そしてそんな登場人物たちを見つめるケン・ローチの目はとてもあたたかい。今回も嫌な奴とかどうしょうもなく情けない奴などが出てくるけど、それらを典型的な型にはめたり、冷たく突き放したりすることは、決してない。
「マルタの鷹」を初めて観たのは高校3年の夏だったと思うが、それがフィルム・ノワールと呼ばれているジャンルだとを知ったのは大学に入ってからだ。「キッスで殺して」はそんなフィルム・ノワールの傑作。夏の夜のレイトショウや深夜のテレビがよく似合う。黒と白のコントラストのはっきりとしたモノクロ画面が、主人公が謎にたどり着いているのか、ただ闇雲に動いているだけなのかわからない不安を(観客に対して)かき立てる。
「オースティン・パワーズ・デラックス」、今年はどうも自分の中で盛り上がりきれず。下ネタ、映画ネタがどうというより、存在自体がやばい。去年でさえ「いまさらねぇ」って感じだったのに(去年はその「いまさら感」が良かった)、同じことを今年もやるなんて・・・・。逆にこのままで3本目、4本目と続いたらそれはそれですごいぞ。(1999.10.1)