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「1999年、夏の電車の中」

1999年、夏の電車の中。ジャネット・ウィンタ−ソン「さくらんぼの性は」、アント−ニョ・タブッキ「レクイエム」「遠い水平線」「逆さまゲーム」「インド夜想曲」、タビサ・キング「埋葬された涙」、ドナルド・バーセルミ「アマチュアたち」、アラム・サロイヤン「ニューヨーク西85番通り」「寺田寅彦随筆集4」ポール・オースター「偶然の音楽」「フィルム・ノワール光と影」バリー・ユアグロー「一人の男が飛行機から飛び降りる」・・・・、その他何十冊かの雑誌、何冊かの漫画や写真集、そしてどこかで見つけたフリーペーパーをいくつか。

今年の夏はタブッキの本をよく読みましたね。「逆さまゲーム」は短編集、「レクイエム」「遠い水平線」「インド夜想曲」の三冊は長編なんだけど、とちらかというと中編って感じで、集中していると行き帰りの電車の時間を使って、一日で読めます。基本的には主人公が誰か(友人、父親など)を探して、何処か(インド、ポルトガルなど)に行き、いろいろな人(タクシー運転手、幽霊?、現地の子供たちなど)に会い、何かに気づくというストーリー。早い話が「自分探しの旅」なのだけど、言われてみないとそんな感じは全然しないと思う。
それよりも「レクイエム」における主人公が動き回るリスボンでの照りつける太陽のけだるいような、茹だるような暑さや、「インド夜想曲」における場末のホテルや暗闇を走るバスの雑然とした雰囲気の視覚的、感覚的な広がりは、実際に読んでいる自分が汗をかいているような気分にさせられるほど。しかもタブッキはそれらを詳細に描写するのではなく、計算された簡潔な言葉で淡々と表現している。

私は映画化された「インド夜想曲」を観ていないけれど、監督がこれを視覚化したくなる気持ちはすごく分かる。でも同時にこの原作の感覚的な広がりを表現するのは難しいだろうとも思う。(1999.9.24)

アントニオ・タブツキの本



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