ルイス・フォア Louise Faurer (「deja-vu」:1994年Spring 16号)

「deja-vu」という雑誌は、気にはなるけれど、どうしても欲しいという特集内容ではなかったし、2800円(古本で探してもたいていは2000円くらいします)という値段がネックになっていてなかなか買うことができません。
雑誌を買うのではなくて写真集を買うという気になれば、高くはない値段ではあるけれど、それだったら別の写真集を買ったほうがいいような気分になってしまうのです。私が今、持っているのもこれのほかには、「ラリー・クラーク」特集のものくらいです。あとは「ドキュメンタリーの現在」「安井仲治と1930年代」「バウハウスの写真」は欲しいと思っているのですが・・・・。
この「ルイス・フォア」の特集の号は、2年くらい前に当時住んでいたアパートの近くにあるBookOffで100円で発見しました!恐るべきBookOff!ちょっと表紙はくたびれているけれど許します。
実は初めてルイス・フォアの写真を見たのはかなり前のことだったのですが、その写真がルイス・フォアのものということを全然知らずにいたのです。だからそのときページをめくっていたら、予想に反していい写真がならんでるし、しかもずっと前からひっかかっていた写真があったりで、ほんとうれしかったですね。
ルイス・フォアは1916年、ポーランド移民の両親もとでフィラデルフィアで生まれました。30〜40年代には地元フィラデルフィアで風刺画家、看板書き、映画ポスターのデザインなどさまざまな仕事に就き、独学で写真を学びます。そして1937年頃から本格的に写真を始め、フィラデルフィアとニューヨークを往復しながら、1946年に初めて「ハーパース・バザー」の仕事を手がけることになります。その後も、「ヴォーグ」「ライフ」「フレア」といった雑誌の写真担当しています。
またその頃、スイスから来た8歳年下の写真家ロバート・フランクに出会います。二人はすぐに意気投合し、フランクは当時“ニューヨーク・スクール”と呼ばれていたヴィレッジの一角にある自分の部屋を、宿泊先として提供、その後ルイス・フォアがニューヨークに出てきてからも、暗室として共同で使用されました。この「deja-vu」には1938年から1950年までに撮られた38点の写真が掲載されていますが、それらの多くは、彼が昼間、雑誌の仕事をしている時の休憩時間や、仕事が終わった後に、フランクの部屋の近くであるタイムズ・スクエア周辺を歩き回り撮影したものです。そのため彼の写真はほとんどが夜撮影されており、それも街のイルミネーションの光のみを光源としています。
そんな中1948年に、エドワード・スタイケンが企画したニューヨーク近代美術館のグループ展に選出され、初めて彼の写真が展示されました。エドワード・スタインはルイス・フォアの写真を高く評価していたようで、50年代には「イン・アンド・アウト・フォーカス −今日の写真の概観」など6つのグループ展で、ルイス・フォアの作品を選出しています。
さらに1959年、ニューヨーク、ライムライト・ギャラリーで初の個展を開催したり、ニューヨークを16ミリ・フィルムで撮影したり(現在まで未公開)、と60年代までは精力的に活動をしています。しかし1969年〜1974年にかけてイギリス、パリ、モントリオールなど、ヨーロッパ各地を転々とし、写真家としての活動はほとんどなくなります。
さまざまな奨学金を元に過去の作品の修復や整理をし、それをもとにメリーランド大学アートギャラリーで回顧展が開かれたのは1981年のことです。これがきっかけでルイフ・フォアは再び注目を集めるようになります。
ロバート・フランクやウィリアム・クライン、りゼット・モデル、ウィージーといった同時代に活躍した写真家に比べて、ルイス・フォアの写真は、プライベート的であり、繊細であり、強烈な印象を与えるものではありません。ただ一度、彼の写真を見たらそれが誰か分からなくても、心の奥底にいつまでも微かな印象として残ってしまう、そんな写真家だと思います。
■■■目次より(抜粋)■■■
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ルイス・フォア −黄昏の光ともに
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再発見されたプライヴェート・ヴィジョン
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ロバート・フランクからのメッセージ
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ニューヨーク派の中のルイス・フォア
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写真術のためのテキストブック
・
ストリートが語るもの
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