特集:カフェロジー入門−喫茶店の憩− (「東京人」:2000年5月号)

さてもう一つ「カフェ」特集の本を。「東京人」はどうも「昔は良かったね」的な雰囲気があって好きにはなれなかったのだけれど、最近は「まぁそれもたまにはいいかな」という気分で時々買ってます。それにどちらかと言えば、「今はこれが流行り!」といってそこそここぎれいなカフェを恥ずかしげもなく紹介してあったり、もしくは、例えば「東京のカフェはブームで終わってしまって、パリのように伝統がない」なんて批判ばっかりしてるよりは、全然いいんじゃないかな。
思うには「東京人」ってよく駅に置いてあってその沿線の店やスポットが紹介してあったり、あるいはどこが作っているのか分からないけれど、よく郵便受けに入れてある、その地域を紹介している小冊子みたいなものだと思ってます。それが東京という広い地域になって少し豪華になったという程度のものなんじゃないでしょうか。
だから「昔は良かったね」という雰囲気はあるにしても、このカフェ特集のように今流行っているものをとりあえず取り上げておく、という姿勢も感じられます。で、結局「さぼうる」や「カフェ・ド・ランブル」を紹介したり、「モダン東京喫茶店建築案内」のような記事があったりいつもと同じようになってしまっているのもなんとなく微笑ましい。結局、紹介したい場所や店、人がはじめにあって、その後、「今流行っているもの」でそれらをくくっているという感じでしょうか。だから「神保町」や「古本屋」の特集をしても「さぼうる」は出てくることになります。
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「東京人」で「カフェ」といえばこの人、沼田元氣。個人的にはこの人は何者なの?という疑問がどうしても拭えません。別に何が本業かなんて実際はどうでもいいことだと思うし、何が本業なのか分からない人でもそういったことを全然感じさせない人もいます。でも沼田元氣の場合どうも故意に「何者か分からない」というキャラクターを押し出しているような気がしませんか。
今回もなぜか水森亜土と吉祥寺カフェ巡りをして、井の頭公園のコーヒーカップに乗ったり、ボアやフロアでお茶したり・・・・。まぁそんな引っかかることもあるけれど、この人が紹介しているカフェは結構気に入ってたりします。それから店内を写した写真が、「東京人」の紙の質も関係しているのだろうけれど、ちょっと荒い画面で思わず行ってみたくなります。まぁこれは好みによりますが・・・・。
この特集の柱でもある対談は、世代ごとに代表して、カヒミ・カリィ×はな、林静一×松本隆、安野光雅×池内紀というラインナップ。私はやはり林静一×松本隆にひかれて買いました。新宿にあった「青蛾」という喫茶店で、はっぴいえんどのファースト・アルバムの絵を林静一から渡された時のことや、その「青蛾」の二階には長椅子があってよく寝ていたという話(林静一)、中学生の時に初めて銀座の「モン」という喫茶店に行ったという話(松本隆)など、細野晴臣を含めて、松本隆が過ごした60年代終わりから70年代初めにかけてのライフスタイルは、その時代を知らない、そして神奈川生まれの私には、いまだに想像がつきません。かといって憧れもしないけれど・・・・。なんだが現実に起きたことではなくて、松本隆が書いた小説を読んでいるよう。
安野光雅×池内紀は、その一つ前の(二つくらい?)世代になるのかな。この世代の喫茶店の話と言えば、やはり名曲喫茶やジャズ喫茶になりますね。ちなみにこの号の後ろのほうには池内紀の「ちいさなカフカ」という本が紹介されていて、このインタヴューとその紹介を読んで、池内紀にちょっと興味がわきました。
若者(?)代表カヒミ・カリィ×はなは、はなのいまどきのカフェ好きな女の子ぽい発言を、カヒミ・カリィが「そうなんだ」とさらっと流していく感じが笑えます。話の中で渋谷の「3・4」が出てくるのですが、昔よく行ったことを思い出して懐かしかった。フロートもよく食べたし、猫と遊んだりしてました。
そのほかは「モダン東京喫茶店建築案内」「この店にこのマスターあり」など、「東京人」らしいコラムやインタヴューがあって、一応「今流行っているもの」をおさえておくという感じで「東京カフェ・オーナーサミット」があります。いつものことながらすべての“墓”を掘り起こしていく橋本徹の姿が気恥ずかしい。
また「『カフェ=珈琲を飲ませる場所』こと始め」では、明治維新以降から現在にいたるるまでの“カフェ”の呼び名の変遷が以下のように紹介されています。
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日本に初めて“カフェ”ができた頃はコーヒー豆がなかったことから、お酒を出していたこと
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それにともなってかわいい女の子のセクシャルな応対がカフェの目的となっていったこと
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その頃は当時の日本人が発音しやすい“カフエ”と呼ばれていたこと
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それに対抗するようにコーヒーを出す店では“喫茶店”という名前をつけるようになったこと
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結局“喫茶店”もお酒を出すようになり、女の子が目当ての“カフエ”と同じ状態になったこと
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そのため“純喫茶”という言葉が生まれたこと
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さらに最近になって再び“カフェ”と呼ばれるようになったこと
内容は豆知識みたいなものなのですが、これが実は一番おもしろかったりして。
■■■目次より(抜粋)■■■
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[対談]
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居心地のよいカフェでの過ごしかた (カヒミ・カリィ×はな)
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それは「青蛾」からはじまった (林静一×松本隆)
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自分の場所に戻っていく場所 (安野光雅×池内紀)
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亜土タンと吉祥寺カフェ散歩
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モダン東京喫茶店建築案内
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「カフェ=珈琲を飲ませる場所」こと始め
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この店にこのマスターあり
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銀座「カフェ・ド・ランブル」関口一郎さん
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神保町「さぼうる」鈴木文雄さん
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飛鳥山「サトリ珈琲店」佐鳥正仁、美和子、正明さん
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[コラム]おいしい話
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フランス映画に出てくるカフェ、日本映画の喫茶シーン
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画家・東郷清児と喫茶店
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歌の中のコーヒー
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ジャズ喫茶の時代
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スターバックス、ドトールの戦略
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東京カフェ・オーナーサミット
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「カフェ・アプレミディ」橋本徹さん×「ヌフ・カフェ」桑のり子さん×「ロータス」山本宇一さん
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亜土タンの21世紀夢の喫茶店
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